それにつけてもM-1 2022

元芸人のたわごと

3回戦 天才ピアニスト

最初は誰から書こうかなと少し考えたけど1番繰り返し動画を観てしまっている天才ピアニストから。

 

そう。観てしまっている。つい観たくなってしまう。それが3回戦の天才ピアニスト。5ちゃんねるとか見ててもなんで天才ピアニストが準々決勝上がった?みたいな書き込みもあったしその気持ちなんとなく分かる。もちろんモノマネとかの知名度も乗っかっての合格なのかもしれない。

 

でもやっぱり面白い。クセになる。ネタ自体は割とありきたりな漫才コント。路上ミュージシャンと観客の設定で普通にボケて普通にツッコむ。いや、普通じゃない。このツッコミが普通じゃない。割とツッコまない。なんてことない返しをしたりする。例えば「売れてない路上ミュージシャンにベストアルバムはない」のボケのところでは「分かってたんだ!じゃあごめんね!」と普通に謝ったり、おばあちゃんが死にそうになったときにできた歌〜のボケには「持ち直したんだ!よかった!」と思ったことを素直に発言している。3分の漫才でしっかり笑いをとりにいくなら有り得ない返しじゃないかと思う。

今の漫才の流れにおいてツッコミはもはやボケになりつつある。というかなっている。なんならボケをフリにしてツッコミの面白いフレーズや例えで笑いをとりにいくスタイルがだいぶ増えている。そんな中このツッコミはツッコミとは言い難い。だからこそ面白い。しかも声がいい。この人Aマッソの加納ちゃんに声めちゃくちゃ似ているが喋り方が可愛らしいし嫌味がないのでずっと聞ける。この声でごめんね!とかよかった!って言われると私は笑ってしまう。可愛いらしアホらしい。なんというかこの人のツッコミには真心がある。もちろん例えたりボケに近いこと言ってるツッコミもあるけど全て笑いをガッツリとりにいってる空気がなく真心でツッコんでいる。ラサール石井が2007年のザブングルのツッコミに新しいって評価したのと同じ感覚を覚えた。(このラサール石井の新しい発言は今でも謎が多いし評論するのにすごい楽しい。今でも仲良くしてくれる元事務所の先輩とは今でもこれをよく話し合う。私たちは一応自分らなりの結論は出た。この発言の真意を意味をちゃんと、理解してる人いるのかな?)

 

そして1番いいなここ!と思ったのが聞こえないぞもう一回〜のボケに対するリアクション。小声で「恥ずいな、あはっ」と顔をつきだし体を少しくねらせる。これこそ日常でやってしまう行為の誇張版というか何気ない仕草!あるあるでもあるしなんか面白い柔らかい空気もあるしこれをネタの中でやってくれるこの人のことが好きでしょうがなくなる。このリアクションだけでこの人の笑いの価値観に賛成できた。オチの矢印読まなくていいって急ぎ足で手振りもつけながら言うのも可愛らしアホらしいって感じで面白い。

 

いわゆる爆笑ではないけどなんか笑っちゃうっていう形のやりとり。ボケがしっかり声出てて演技上手くてちゃんとボケてるのもコントラストがあっていい。どこかふんわりとした空気が包む彼女たちのネタは何度観ても飽きないしむしろクセになる。和菓子のような美味しさを彼女らは持っていると思う。顔もなんかちょうどいいし。

 

とても面白かった!

 

やっぱお笑いやりたいな