それにつけてもM-1 2022

元芸人のたわごと

3回戦 カベポスター

ここもなぜ落ちたのか分からないと言われているコンビ。めちゃくちゃウケてるしネタもちゃんとしてるし通ってもおかしくない。

 

でもなんかちゃんとしすぎている気がする。ネタ構成がまず分かりやすすぎる。絵本考えてきたと言ってもぐらとドーナツ工場を言う。ボケる。そうじゃないやん。じゃあまだ他のある。アライグマの絵本でホール行かせていやキッチン行かせろや、特徴うまく活かせよ。ここで特徴うまく活かせを明確に示してフリにする。次はどこの特徴活かしてんだよ。んでカンガルーでうまく活かしても犯罪に活かすなよ。最後はタイトルも終わってるんかいで丁寧に1個ずつちゃんとずらしてボケていってる。まぁ丁寧すぎる。漫才の作り方お手本みたいな構成。

 

こんな〇〇考えてきたっていう「ボケが事前に用意してきてる」ネタってそれに対してツッコミがコメントしたりツッコんだりする形になるからその瞬間瞬間の2人の会話になりにくくて盛り上がりに欠ける印象がある。これもまさにそんな感じ。1ネタ1ネタがちゃんと切られてしまうから勢いにうまく乗れないと平坦な印象で終わる。

 

絵本だからこその動物の可愛らしい特徴活かしの教訓めいたお話にするのがいいっていう共通認識の視点が素敵。こういう発想って頭いい人にしか出てこない。私はこういう発想すごい好き。しかし殺意がない。笑かしまくってやろうという、ことM-1に必要な殺意。あるのかもしれないが題材もかわいいし2人の雰囲気もどこか優しいので見えにくいし、強い漫才師に必要な「悪さ」が感じられない。アイロンヘッドは殺意がない、もしくは見せていなかったが、あれは酔拳の師範代みたいな闘い方だからその雰囲気はプラスに働いていたように思う。

 

ただ、こういう題材や発想こそ認めろよ!という、M-1や今のお笑いシーンに対する苛立ちはある。絶妙な発想だと思うしかわいさをうまく笑いに変えてると思う。ボケの人がもう少しキャッチーな見た目だったらまた違うのかなぁ。NHKの教育番組とかで流しても違和感なく楽しめるネタだと思う。でもそのNHK感てのがM-1とはまた遠いのかもしれない。まぁ地味だしなぁ。でもうるさい声出して騒ぎ立てるのとか安易なメタネタよりかはずっといい。

 

やっぱお笑いやりたいな